きちんとした睡眠時間をとらないと健康に影響するか?

疑問
不眠が続くと病気になりやすくなることがあります。
ただし、体が必要とする睡眠時間は人それぞれです。
健康な成人では6~7時間くらいの睡眠をとる人が多いようですが、あまり睡眠時間にこだわりすぎないようにしましょう。

不眠による健康への悪影響とは?

睡眠不足の状態が長く続くと、体の免疫が低下するため、病気にかかりやすくなったり、悪化しやすくなります。
また、不眠や高血圧症や糖尿病などの生活習慣病や内病など危険性を高めることになります。

睡眠時間にこだわりすぎない

睡眠時間を長くとらなくてはいけない、というのは間違いです。
体が必要とする睡眠時間は人それぞれで、年齢によって変わります。
睡眠時間を長くとらなくてはいけないと思いこみ、必要以上の長時間にわたって寝床に入っていることは考え物です。
かえって眠れなくなる場合や、実際は眠れているのに眠れていないように感じる場合もあります。
日中に倦怠感や強い眠気などがなく活発に活動できるようであれば、たとえ短い睡眠時間でも問題はありません。
あまり睡眠時間にこだわりすぎないようにしましょう。

不眠とほかの病気との関係は?

疑問
うつ病・不安障害・統合失調症などの精神疾患には、不眠の症状が現れることが多くあります。
また、アルツハイマー型認知症や脳血管障害、脳腫瘍などの障害でも、不眠の症状が現れることがあります。
その他、糖尿病や更年期障害でも不眠が関係する場合があります。

糖尿病との関係

糖尿病の患者を対象とした調査によると、患者の50%が何らかの不眠の症状を持っていることがわかっています。
原因として、合併症による口の渇き、発汗、夜間の頻尿、神経障害による痛みやしびれ、低血糖になるのではないかという不安やうつの症状ではないかと考えられます。
また、逆に不眠が原因で血糖値のコントロールができなくなることもわかっています。
不眠を解消することで糖尿病の症状が改善した例も多くあります。

更年期障害との関係

更年期障害によるホルモンの変動が原因で、不眠になることがあります。
のぼせ、ほてり、発汗、イライラなどは、更年期障害の症状としてよく知られています。情緒不安定精神不安定
また、不眠や倦怠感も現れることがあります。
ホルモンのバランスが乱れているために自律神経にも乱れが生じているためです。
不眠や倦怠感の症状がある場合には医師に相談しましょう。

日中に眠くてたまらないのは病気でしょうか?

説明
十分な睡眠をとっていても、日中に強い眠気があるなら、病気が関係している場合があります。
考えられる原因は2つです。
1つ目は、慢性的に睡眠時間が不足していたり、睡眠の質が低下している可能性です。
2つ目は、睡眠時無呼吸症候群という病気である可能性です。

心身が必要とする睡眠をとれていないのでは?

慢性的に睡眠時間が不足していたり、睡眠の質が低下していると、日中に強い眠気を生じる可能性があります。
寝つきもいいし、自分では睡眠が足りていると思っていても、心と体が必要とする睡眠をとれていないのではないでしょうか。

睡眠障害かも?

睡眠中に体が十分な休養をとれていないことによって、日中に強い眠気を生じることがあります。
睡眠時無呼吸症候群もその1種です。
中高年の男性、肥満体系の人などにしばしば見られ、大きないびきなどの特徴的な症状があります。
また、過眠症という病気かもしれません。
夜間に十分な睡眠をとっていても、昼間に耐えられないほどの眠気に襲われるという症状があります。
日常生活に支障があるようなら、専門医に相談しましょう。

睡眠薬、睡眠導入剤、安定剤の違いは?

疑問
睡眠導入剤と安定剤は睡眠薬の一種です。
睡眠薬の中でも作用する時間が短いものが一般的に睡眠導入剤といいます。
また、睡眠薬の中でも不安になることを抑える作用があるものを安定剤と呼ばれます。

睡眠薬の効果は2種類

現在よく使われる睡眠薬・睡眠導入剤は、主にベンゾジアピンという成分を含んでいるか、または、ベンゾジアピンと同じ働きをするように作られた薬です。
睡眠薬の効果には「穏やかに眠りに誘う効果」と「不安を和らげて精神を安定させる効果」の2種類があります。

穏やかに眠りに誘う効果

自然に近い状態で、穏やかに眠りに誘う効果が強いものを睡眠導入剤として主に使います。
睡眠導入剤は睡眠薬の中でも、作用する時間が短いものを言います。
主に寝つきが悪い人に使われます。
睡眠薬度同様に、夜中に目が覚めてしまう、朝早くに目が覚めてしまう、ぐっすり寝た気がしないといった不眠の症状にも効果があります。

不安を和らげて精神を安定させる効果

不安や興奮状態が原因で不眠になる状態を改善するために、主に安定剤が使われます。
不眠症の改善だけでなく、うつ病や精神疾患などの治療にも使われます。

睡眠薬はだんだん量が増えていくもの?

薬

質問

睡眠薬はだんだん量を増やさないと効果がなくなってしまうものなのでしょうか。

回答

現在使用されている睡眠薬は安全性が高く、癖になって量を増やさないとだんだん効かなくなるということはほとんどありません。

解説

現在と過去の睡眠薬を比較してみましょう

現在の睡眠薬

「ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」等
安全性が高く、癖になって量を増やさないだんだん効かなくなるということはほどんどありません。
医師の指示に従って計画的に量を減らすことができます。

過去の睡眠薬

「バルビツール酸系睡眠薬」等
優れた睡眠作用を有する一方、繰り返し使用することにより薬剤の効果が減退したり、止められなくなりやすかったです。
依存性が高かったといえます。

睡眠薬は依存性があるのではないか?

質問

睡眠薬は一度飲み始めると、一生止められなくなるのではないですか。疑問

回答

睡眠薬やそのほかの生活習慣の改善などで、眠れるようになれば薬を飲み続ける必要はなくなります。
ただし、眠れるようになったからと言って、自分の勝手な判断で睡眠薬の服用を突然中止すると、以前よりも不眠の症状が悪化することもあります。
睡眠薬の使用も停止も、必ず医師に相談しましょう。

解説

現在の不眠治療は睡眠薬を使った薬物療法が中心です。
睡眠薬は一度使い始めると、それなしでは眠れなくなるのではないか、次第に量が増えていくのではないか、と不安に思う人もいるかもしれません。
しかし、それは過去のことです。
かつて用いられていた睡眠薬は効果が強力な半面、副作用も強いなど安全性に問題がありました。
現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張・興奮を和らげて眠りに導くものなので、自然に近い眠りが得られます。

こんな飲み方をしてはいませんか?

アルコールと一緒に飲む

睡眠薬をお酒と一緒に飲むと、激しい脱力やふらつきが出たり、異常な行動をしたり、記憶が抜けたりすることがあります。
危険ですので、絶対に避けましょう。

途中で起きなければならない場合は、飲まない

薬を飲んで眠っているときに起こされると、その前後の記憶が抜けたりすることがあります。
原則、睡眠薬を飲んだら途中で起きないようにしましょう。

睡眠薬はどれも一緒か?

質問

睡眠薬はどれでも一緒でしょうか。内服薬
友人や家族と共有してもいいでしょうか。

回答

睡眠薬の効果はどれも一緒というわけではなく、患者一人一人の症状に合わせて適した薬が処方されています。
そのため、他人用に処方された睡眠薬を共有するのは止めたほうがいいでしょう。

解説

医師が処方した睡眠薬は、いろいろな要因を考えて処方されています。
適切な薬でないと症状が悪化する可能性があります。
ほかの人との睡眠薬のやり取りはしないでください。
不眠の症状に悩むようなら、自分の症状を医師に相談して、自分に合った薬を処方してもらいましょう。
また、睡眠薬の譲渡は法律で禁止されている行為です。

症状別の分類

  • 寝つきが悪い→超短時間型・短時間型の睡眠薬
  • 夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めてその後寝付けない、熟睡した感じがない→中時間型・長時間型の睡眠薬

ストレスを解消して不眠を克服しましょう!

ストレスと緊張は快眠を妨げます。
神経質で几帳面な性格の人はストレスをより強く感じ、不眠に思い悩み、不眠症に陥りやすいかもしれません。仕事のストレス
ストレスから不眠症に陥らないように、自分にあった趣味で上手に気分転換を図りましょう。

ストレスから不眠にならないようにしましょう

ストレスは眠りにとって大敵です。
音楽・読書・スポーツ・旅行など、自分に合った趣味やリラックス法を見つけて上手に気分転換を図りましょう。甘いものを食べる旅行ヨガ
そして、快眠を妨げるストレスをためないようにしましょう。

ストレスの正体とは?

ストレスとは、外部からの刺激によって体の内部に生じる反応のことを言います。
また、体の内部に反応を与えるもの自体もストレスといいます。
ストレスの原因には、暑さや寒さ、有害物質などの物理的・化学的なものもあります。
病気や飢え、睡眠不足などの生理的なものもあります。
職場や家庭における不安・緊張・恐怖・怒りなどの心理的・社会的なものもあります。
人間では特に心理的・社会的ストレスが大きいとされています。
同じストレスでも受けた人によっては、それを「よいストレス」ととらえるか「悪いストレス」ととらえるかで、体への影響は大きく異なります。
「よいストレス」としてとらえられるように、前向きな姿勢で物事をとらえるようにしましょう。

どうしても不眠が治らなければ病院へ

生活習慣を改善しても、市販薬を飲んでも、どうしても不眠が治らないときには専門医に相談しましょう。医師に相談
不眠症は精神科や心療内科で扱います。
大切なのは眠れないことを一人で考え込まないことです。困る

不眠症は精神科や心療内科へ

どうしても不眠が治らないときには、精神科や心療内科の受診をお勧めします。
精神科に行くのは気が重いと感じるかもしれません。
そういうときには、いきなり精神科の見知らぬ医者ではなく、風邪などの症状で顔を見知っているかかりつけの医師に相談してみましょう。
不眠について相談するだけでも、精神的な負担や不眠についての恐怖が和らぐかもしれません。
また、かかりつけ医から信頼のできる精神科や心療内科を紹介してもらえるかもしれません。

一人で考え込まないで

大切なのは一人でくよくよと考え込まないことです。
不眠について長く考え込んでいること自体が、不眠の症状を悪化させてしまう可能性があります。
また、うつ病などの精神疾患やストレス性の疾患などを招いてしまうことになります。
一人で悩むのではなく、周りの信頼できる人に不眠の悩みを聞いてもらうだけでも楽になれるかもしれません。
また、相手からよく眠れる方法などを教えてもらえるかもしれません。
積極的に周囲に相談してみてはいかがでしょうか。

眠れる環境にいるでしょうか?

眠りやすい環境作りも大切なポイントです。
騒音や光が気になって眠れないという場合もあります。
また、寝室の温度や湿度が適切でないと安眠できないのです。
ベッド、枕、布団などは自分にあったものを選びましょう。

快眠のための寝具の条件

快眠
寝具によって快眠を得られるかどうかは左右されます。
寝具には寝ているときの保湿と良い寝相を保つ、という2つの大きな役割があります。
人間の体は眠っているときに、体温が下がります。
この時、深い眠りを保つために体内から熱を出すために汗をかいているからです。
個人差や季節にもよりますが、寝床内の温度は33度、湿度は50%の状態が最適です。

枕は高さと吸湿性に注目

枕の役割はベッドマットや敷布団と後頭部から首にかけての隙間を埋め、立っているときの姿勢に近い自然な体勢を保つことにあります。
この隙間は個人差が大きく、それに適した枕も人それぞれに異なります。
自分の体形に合った枕の高さを知り、安定感のあるものを選ぶといいでしょう。
また、呼吸がしやすく、頭部をきちんと支えてくれるだけの弾性があり、汗をかくのに備えて吸湿性・放湿性のいい素材を選ぶことが大切です。

マット・敷布団は適度に硬いものを

ベッドマットや敷布団には適度に硬いものを選びましょう。
人間の姿勢は、後頭部から首・胸にかけてと胸から腰にかけて、背骨が2つのS字カーブを描いています。
2つのS字カーブを柔らかすぎず、硬すぎず、バランスよく支えられるように自分にとって楽で快適な寝相を保ちやすいものを選びましょう。